Ryoma

木と市長と文化会館/または七つの偶然のRyomaのレビュー・感想・評価

4.2
“地方分権“や“保守派“など、政治的なワードが連発する政治劇ではあるが…長閑な時間が流れるフランス🇫🇷の田舎町を舞台としていただけあって、それほどまでに深刻さは窺えず、政治を語る人たちには笑顔も見え、爽やかささえ感じられた。日本ではあまり馴染みがないが、フランスに限らず外国では、友人と政治を語るのはなんら特別じゃないと学生時代のフランス語の授業でフランス人教師が話していたことを思い出した。“環境“が一つのテーマにもなっていた本作。地域住民へのインタビュー形式で当時の世界や暮らしが彼らの目にどうみえてどう映っているのかいるのか、マイクミルズの『C'mon C'mon』的なドキュメンタリー要素も加わり、政治や少子高齢化などの社会問題がより身近に感じられた。社会に対するロメールの思いも十分に伝わってきた。田舎と都会の比較は様々な場面でよく引き合いに出されるように感じる。大抵の大人は、それぞれに対して罵ったり重箱の隅をつついたり、粗探しをするばかりに感じるが、一方の子供は各々の特長や長所を認めた上でそれぞれ独立したものであるんだと言わんばかりの姿勢にハッとさせられたし、大人よりも機転が効き賢く柔軟である、そういう設定自体がロメールの世間や富・名声ばかりを求め自然に目をくれない大人に対する皮肉やブラックユーモア、風刺にも聴こえるようだった。エリックロメール監督作初鑑賞だったのだが、意外にもザ・会話劇で、フランス人の日常にも近しいような小気味良い会話を純粋に楽しめた。第1章から7章で構成される本作。個人的にほっこりできた第6章がお気に入りだ。
最後まで観てみてロメール初鑑賞が本作でよかったなと思った。他の作品群を見ていると、なんだか恋愛もの?多めのようだから、また観てみよう♫


あらすじ
フランスの田舎町に文化会館を建設しようとする社会派市長の計画が呼んだ騒動を、ドキュメンタリー調も交えたユーモアとウィットあふれる演出で描いた風刺喜劇。物語は7つの章で構成され、そのすべてが「もし・・・」で導かれる。
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