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ディア・ハンターの10000lyfhのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
2.5
ヴェトナム戦争で三者三様に心身の傷を負った 3人の友人たちと、彼らを取り巻く人々との人間模様。結婚式と鹿狩りを中心とした出征前、戦場、復員後、の 3部構成で、それぞれ映画の基調が対照的に大きく異なる。出征前の工場労働者群像の描き方はカサヴェテス直系のリアリズム。この部分ラスト、仲間の 1人が弾くショパンノクターン 6番に皆が聞き入る様が印象的で、直後のヴェトナム戦場シーンへの切替りが鮮烈。ヴェトナムのシーンは、印象的にロシアンルーレット一色で、実際にこのようなことがあったかどうかは別にして、「ヴェトナム戦争=ロシアンルーレット」の偏ったイメージを不当に創出していると思う。それ以降の、帰国後に友人の 1人に、そして再度ヴェトナムで友人の記憶を取り戻すため自らに、ロシアンルーレットを敢行するデニーロの言動も、PTSD 起因とはいえ、許容されるものではない。そして、米兵たちも犠牲者なのは否定しようがないが、ラストの「ゴッドブレスアメリカ」アカペラ合唱に象徴されるように、戦争についてアメリカ側を絶対的に正とする姿勢、第三者としては納得できるものではない。ただ、以上の諸問題点はあっても、冗長さはあるが丁寧に作り込まれた作品で、音楽、特にロシア民謡やヒット曲、そして先述のショパンまで取り入れた多様なソースミュージックも魅力。デニーロとストリープの笑顔も眩しく、作品に好感を抱かざるを得ない(なんかずるい
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