円柱野郎

ディア・ハンターの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

ベトナム戦争によって人生を大きく狂わされた、3人の若者とその仲間達の姿を描くドラマ。

183分の上映時間の中で、前半を割いてすごく丁寧に出征前の姿を追っている。
最初は「長いなあ」とも思ったけど、その描写が復員後の姿との対極にあるわけだね。
ベトナムでのロシアンルーレットが象徴する紙一重の運命と“銃”、“命”が重くのし掛かってくる後半はまさにアメリカ人にとってのベトナム後の陰鬱な気持ちそのものだろうか。
それにしてもロシアン・ルーレットの緊張感はすごい…。
主人公達がロシア移民であるというところもテーマとして重要なんだと思うけど、ラストの“ゴッド・ブレス~”は皮肉としか言いようのない感じがするね。

ベトコンの描写が偏っているとも取れる演出ではあるけど、この映画はそれが言いたいんじゃなくて、もっと普遍的な戦争の虚しさや後遺症を描いているんだと思う。
だからこそ主人公達からの視点だけで構成しているんだろう。
一人の人間達がある出来事でどうなったのかということを…。
鹿猟で鹿が撃てなくなる訳なんだから。
円柱野郎

円柱野郎