柏エシディシ

ディア・ハンターの柏エシディシのレビュー・感想・評価

ディア・ハンター(1978年製作の映画)
4.0
このたび4Kデジタル修復版を。
作品自体は言わずもがなの映画史に残る大傑作な訳で、ロシアンルーレットのくだりとか、もーね、いーから観ろよ、と。

しかし、4Kデジタルでアップデートされた画面をスクリーンで観ると、やはり第一幕のスティーヴィーの結婚式のシーンからして映える映える。
中盤以降の凄惨なドラマと比較すると前菜的に捉えられがちな序盤ですが、いやいや、劇場で観るとインパクトが違う。
過去の名作をリアルタイムで観れなかった「遅れてきた観客」である私たちにとっては昨今のリマスター劇場公開は本当に有難い。スマホやタブレットで観た気になってちゃいかんのです。

肝心の作品自体に関してですが、今時分の視点から観るとそのアメリカ的なセンチタリズムや一面的なアジア人の描き方など批判されてしかるべき隙はどうしても否めないかな、と。
しかしそれでもマイケル・チミノの力強い演出とキャスト陣の熱演でぐいぐい引き込まれてしまう。
このクリトファー・ウォーケンを観ろ!以上!w
面白かったのが、メリルストリープがまだ「みんなが知ってるメリルストリープ」になる前だなぁと思ったこと。
や、もちろん好演しているのですけれど(アカデミー助演ノミニー)、他の俳優陣の熱や存在感に比べるとまだ控えめ。
しかし、本作で憧れのデニーロと共演した事は確実に彼女に自信を植え付けた様で、その後クレイマークレイマー(1979)、ソフィーの選択(1982)と続き、バケモノ女優の道を(未だに)突き進んでいく訳ですから、本作のメリルストリープはとてつもなく貴重な瞬間のメリルストリープが観れるとも言えるでしょうか。
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