広島カップ

波止場の広島カップのレビュー・感想・評価

波止場(1954年製作の映画)
4.2
ニューヨークの波止場で働く人々は組合を作り仕事の差配をしていたが、実質上はそこのボス(リー・J・コッブ)が組合を牛耳り私服を肥やしていた。情け容赦の無いボスによって友や兄を亡くした組織の下っ端の男(マーロン・ブランド)が我慢の限界を超えボスに反旗を翻す物語。

後にドン・コルレオーネやカーツ大佐として貫禄の演技をみせたマーロン・ブランドの若くてピチピチした魅力が全開で、後の重量感のある役柄を演るなんて誰も思っていなかった頃の作品。
ボクシングの心得のある若僧という雰囲気がタップリのブランドが、「許せねぇ!」と観客のテンプルにストレートを打ち込んで来ます。

マーロンを始め港湾労働者の男達の顔つきが実に渋くて、なかには『用心棒』(1961)に出てくる羅生門綱五郎に雰囲気の似ている男などもいる。
彼らを含めてNYの港湾一帯を写しているカメラの具合がなんと言っていいのか実に良くて、白黒画面が優しく眼にキツく来ない。
「用心棒」とも、勿論『ゴジラ-1.0/C』のそれとも全然違う白黒加減。
カメラマンはボリス・カウフマンで、彼は『十二人の怒れる男』(1957)を手掛けていると聞くと納得する。
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