わかりづらいストーリー展開。
これまた市川右太衛門さんの使い方が下手な作品。

スター俳優の一人二役作品は東映のお家芸ではあるが、これはあまり上手くない。

あらすじ
将軍家斉の時代。江戸の町に宗十郎頭巾をかぶり葵の紋服を身に纏い、自ら「将軍家御落胤葵太郎」と名乗る怪盗一団があった。幕府の権臣と組んで、私利私欲にふける御用商人の財宝を次々盗んでいった。御落胤と言われるものは世に四十人以上存在し、本書堅川筋にすむ三千石の旗本・松平鶴太郎もその一人。しかも鶴太郎は葵太郎と瓜二つだったから、南町奉行鳥居甲斐守は鶴太郎に疑いの目を向けていた。鶴太郎はそのことを知り、スリの少年・仙太と浅草の曲芸師・つばめと共に自分で葵太郎を捕らえてみようと考えた。まずは母里信濃守に御用金を用立てている蔵前の札差・飯田屋銀兵衛という男が現れた。銀兵衛は金に物を言わせて息女の雪姫を手篭めにしようとしていたが、鶴太郎が雪姫を救う。しかしこのとき、葵太郎が銀兵衛の前に現れて、十万両で雪姫を奪ってくると取引した。葵太郎の雪姫奪取は失敗したものの、十万両はまんまと奪われてしまう。しかも、葵太郎は改めて銀兵衛と甲斐守の金を奪いにくると宣言。甲斐守は鶴太郎を葵太郎に仕立て上げ、母・松野と共に捕らえてしまう。鶴太郎と葵太郎の間の因縁とは…？

これはほんとにダメすね。
冒頭のクレーンショットが語り草だが、ただ大掛かりなだけで驚きは薄い。例えば『無法松の一生』のクレーンなんかはどこまで行くんだろうかという高揚感があったけど。

山手樹一郎原作の、内田吐夢の時代劇。右太衛門が兄弟の二役。弟が怪盗の兄を捕えようとする設定。どちらにしろ、見栄を切るオーバーアクトは吐夢でも抑えきれなかったようだ。