広島カップ

バーバー吉野の広島カップのレビュー・感想・評価

バーバー吉野(2003年製作の映画)
3.9
吉野ヶ里遺跡は佐賀県にありますが"吉野刈り"という髪型はおそらく静岡県にあります。
ビートルズのマッシュルームカットは耳まで隠れていますが本髪型は耳が出ているマッシュルームッポいやつ。
その町唯一の床屋であるバーバー吉野に行くと男子小学生は皆んなそこのオババ(もたいまさこ)にその髪型に強制的にされてしまいます。
ある日東京からカッコイイ髪型の男の子が転校してきてからというものクラスの男子は「オレ達の髪型は吉野刈り一択でいいのか?」と疑問を持ち始めます。

ここで突然私自身の話になりますが、私が小学生の頃は床屋は家から歩いて10分程度の「バーバー高田」一択!日曜日にそこに行くといつも混み合っていて少年ナントカの週刊漫画誌の読み放題が嬉しかった。一時間以上待ってようやくカット椅子に案内されると将棋の大山康晴元名人に似ている床屋のオヤジに「どうする?」と一応必ず聞かれます。世の中にどんな髪型があるかなんて一切関心の無かった私は「んん...」と考えるフリをして小首を傾げるのが常で、結局いつもオヤジのお任せになってしまうのでした。

そんな私からすると本作の男子小学生達は凄いの一言。キチンと自分の身だしなみに気が回っています。自分の見た目「何故自分はこうなのか?」とちゃんと考えているのです。頼もしい!

遂に彼らが大人に反撃します。
「クソババアよく聞け、もうこんな髪型真っ平だ!」
よくぞ言った男の子よ!それでこそ日本の将来を背負って行ける男子だ!と思ってしまうのでした。
胸がスッとしました。

子供の頃から自分に向いている物は何かについて、未だによくわかっていない私のようなオヤジからしたら、こうした少年達の話にはとても弱いのでした。
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