和桜

ソイレント・グリーンの和桜のレビュー・感想・評価

ソイレント・グリーン(1973年製作の映画)
3.8
2022年のニューヨーク。環境汚染と人口爆発によって、食料も家もなくなった人々が路上に溢れかえる。一部の特権階級をのぞき、合成食品を生産し消費することで人類は食いつないでいた。そんな世界の根幹となる製造会社幹部の殺人事件。それを追う刑事を描いたSF映画。
このオチは製作年代を考えると衝撃だったはずだし、日本のゲームや漫画に与えた影響も計り知れない。特に漫画では現役でヒットしてるアイデアだから驚いてしまう。『人間がいっぱい』という小説が下敷きらしいけど、誰が初めに考えたのか気になるな。

昔はこうだったんだと懐かしむ相棒の老人と、そんな昔を知らない刑事。この刑事が職権乱用と言わんばかりに殺人現場や訪れた家から食料をパクってくる。これを老人と一緒に食べるシーンがもう最高で、観てる側には当たり前の料理や果物なんだけど凄く美味しそうに見える。
昔の動物や自然を映した映像を見るシーンもあるんだけど、これがまた美しいのなんの。「今も昔も人間は駄目だが世界は美しかった」という老人の言葉通りの映画。
今となってはギミックも演出もオチも使い古されたものだけど、食事や自然や動物へ感じる愛おしさは最新の技術を使った映画にも負けてない。ホームや家具といった施設や概念、ショベルカーに持ち上げられる人間。話の切れはないけど今見ても十分に楽しめる名作SF。
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