ぬーたん

銀河鉄道の夜のぬーたんのレビュー・感想・評価

銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)
4.5
『エンドゲーム』が皆さん☆5連発している中、早く観たいとソワソワしつつ、お楽しみは後に取っておきたく、代わりに大好きな今作を再鑑賞す。
宮沢賢治が大好きだ。
恋、とも言えるかもしれない。
”出会い”は小3か小4の授業だった。
『雨ニモ負ケズ』のあの詩に感動し(どんなガキだ)部屋の壁に貼り、暗唱したものだ。
何回もするから凄い早口で暗唱できるようになり、多分友達に自慢したのかもしれない。
それが担任の知る所となり、授業参観でアンタを当てるから、お母さん方の前で暗唱してみっ!と田舎のお婆さん先生に言われ、朝ごはんも喉に通らず学校に行った(イヤダなんて言えない時代。先生は偉いのだ)
ドキドキしつつ暗唱し、大喝采を浴びたあの日。
凄いわねえ~と言われた、あれが私の頂点だった。
あとは下降のみの人生よ。
詩がきっかけだったが、本来は童話作家ということで、図書館で借りまくり、独特なストーリーとそこに見える賢治さんの優しさに益々、恋心は募るばかりの小学生だった。

宮沢賢治の旅に昨年出掛けた。
花巻だ。素朴で田舎だったが、宮沢賢治記念館とその周辺の関連施設は、まあ、綺麗で立派で都会的な作りになっていた。
何だろう?ちょっとがっかりしたかな。
あの手帳も立派なガラスケースに収められ、高価な宝石のようだった。
その後はマイナーな賢治ゆかりの地を敢えて周ったが、そちらの方が人も少なく、静かで賢治さんらしくて、感動する場所が多かった。
賢治さんはそんな煌びやかな雰囲気が似合わないし、本人も望まなかっただろう。

この作品、公開当時に驚いた。
あの、ジョバンニやカムパネルラが猫?ネコって?
最初に観た時は、その違和感が消えることはなく、映画の出来が良かっただけにがっかりした。
服装もチョッキやらネクタイを締めていてお洒落なのに、なんで下半身はすっぽんぽんなのさ、とか色々と気になったし(笑)
それがかなり年月が経ち、次に観た時には、そうか、ネコだから良いのか、という気持ちになり、感情移入もスムーズに出来たのだ。
映画を観ていると、賢治さんの顔が時折浮かんでくる。
それは優しいが寂し気な表情で、まるで、ジョバンニやカムパネルラの心のように思えた。
好きなシーンはたくさんある。
というよりどれもが好きなエピソードだ。
音楽もいい。細野晴臣だ。
星が美しい。
じんわりと泣ける。
でも、頑張ろうと思う。励まされるのだ。
賢治さんのよく行った蕎麦屋で”賢治セット”を食べた。
サイダーがシュワシュワっとなり、何だかニヤリとしてしまった。
次は彼が教員をしていた盛岡に行こうと思う。
ぬーたん

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