寿都

赤ひげの寿都のレビュー・感想・評価

赤ひげ(1965年製作の映画)
4.9
黒澤映画でいちばん好きかも。黒澤映画の魅力は、正義。「私は恥ずかしいくらい恵まれた人間だ。」こう言った視点に年一回くらいは立ち帰ることも必要だ。 悪の連鎖を断ち切ることができる人間は、恵まれた立場の人間だ。この真実から目を背けずに生きる聖人・赤ひげ先生。医療が今より遥かに無力だった時代に、身体の病の根本にある、無知と貧困、そして心の病・人々の不幸と闘う。

こまめに障子を開け換気をする描写が清々しい「江戸くらいの寒さはかえって健康にいい。」窓の格子に積った雪を、桶に入れるシーンも日本美に溢れていた。苦難に耐えた先のサービスに、癒しの笠智衆と、赤ひげ後継者の誕生。エデンの東を彷彿させる様な、苦しみの果てに気付く愛、みたいな寛容なあたたかさで包むテーマ曲。泣ける映画、No. 1。
2018-1
寿都

寿都