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近松物語のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

近松物語(1954年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

溝口健二の近松の物語



1954年作品。
原作近松門左衛門。
撮影宮川一夫。
脚本依田義賢。
助監督田中徳三。
監督溝口健二。



来期で悲しいかな終了のリバイバルプロジェクト「午前10時の映画祭9」

DVD再発のやつを鑑賞済み。見た当初度肝を抜かれた。溝口作品の中でもベストの部類。

チラホラ溝口健二作品を見ているが本作のラブ度は印象深かった。

綺麗すぎる久我さん!

「もへい!もへい!」

と呼ばれる長谷川一夫!
原作近松門左衛門の世界観を流石!溝口監督と思った。確かに小津にもない、黒澤も出来ない作品だと思った。どちらかというと成瀬監督作風だ。

2018年プログラムで楽しみにしていた1本。
日本映画
4大巨匠の1人溝口健二
大映作品
「近松物語」だ。
どうしても見に行きたくて曇空の中見てきました。



4Kリマスター!相変わらず綺麗だった。
後日この4Kの番組放送を偶然見た。香川京子が振り返っていた。

まず音楽の素晴らしい効果。
驚いたなあ、和楽器、太鼓や笛の音色。この相乗効果が響いたなあ。
なんかマズイ事が起きた時、予感を拍子木が

「カンッ!カツカツカツカツ」

「ピイィィヒャアアア」と笛の音色。是非聴いて欲しい!字面にすると無味だから。
早坂文雄の日本の和楽器その調べの素晴らしさが、4Kの画面に無茶苦茶はえていた。

物語はとあるたんもの屋。そこに働く長谷川一夫。そこの社長旦那様の奥様が香川京子。なにやら恋が渦巻き、金が渦巻き、人生が溺れ浮き立つ。

長谷川一夫の真面目そうかつ静かな佇まい。一時代のイケメンをようやく見れた感じ。誠実さが垣間見える。

香川京子の何も知らなずにいつの間に巻き込まれる恋模様。若いのに素晴らしい苦痛で翻弄される演技を魅せてくれる。
セックスやら
性描写など
びた一文もありません。
溝口演出が魅せるマジックに引き寄せられていきます。
香川さんは、4K修復のBSの番組で「本当につらかった」とインタビューで答えていました。 

「OKが出ない、何度もやらせる」

という溝口演出の譲らない厳しい演出です。だけども出来た作品を見て自分の代表作でお気に入りだとも香川さんおっしゃっていました。

溝口監督の素晴らしい原作物を描く手腕は、黒澤明、小津にはない。どちらか言うと成瀬より。

近松門左衛門の心中物
封建制
逃避
不義理


が長谷川一夫と香川京子から浮かんできます。


多くの方々が語る名ラストの素晴らしい既視感。

あの素晴らしさは、忘れられないんですよねえ!たとえ映画中盤で

そうなると予想出来るラスト

なのに深い余韻を与える感じ。

逃走劇から高まる恋も何気にボーイミーツガールのクリミナル映画にいつの間にか当てはまってきます。今から半世紀以上前の映画なのにアメリカ映画には出せない雰囲気をかもし出す。

だからこそ
ゴダール、トリュホーが溝口を褒めたたえてきたんだと思いましたね。

日本人が知らなすぎなだけなんだと。はじめて見たときショックでした。

他の関西系の俳優のすばらしさのは、言うまでもありません。
進藤英太郎のいやらしさ!
浪速千栄子のあの風貌!

田中春男のダメさ。田中さんは、三大巨匠をまたにかけ愛される関西俳優であります。個人的に大好き!本作ではチョイ役のダメぶりを披露。

劇場を冷たくてどこか暖かい
気持ちを引きずり
あとにしました。

拍子木のカッツという音が
頭に残りました。
2人の恋の火花のようでした。


さて
近松門左衛門の近松の物語、溝口演出

まだ未見の方は是非ご覧に頂きたい、日本映画の古典であります!

是非!

追伸 
私も全然見れてないですが本作溝口ベストに好きです。「西鶴一代女」とともに!
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