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アルマゲドンのArts0001のレビュー・感想・評価

アルマゲドン(1998年製作の映画)
4.9
ああ、映画観たな。と思える映画

ディレクターズカット版で観賞。
まず改めて150分という上映時間の長さに驚いたが、それよりもさらに驚いたことはがある。
この映画は上映時間に対して全然退屈しない!

まさにジェットコースタームービー。小惑星が地球に衝突するという絶望シーンの連続で観客の心を揺さぶる。絶望に対抗するのは荒くれ者たち。その勇気や家族愛の描かれ方がまさに映画!
“映画観た感のある映画”としてオススメします。

宇宙から飛来する小惑星に人類がどう立ち向かうか。序盤、中盤、終盤と隕石の脅威をしっかり見せているが良い。
特に中盤の隕石直撃シーンでは、しっかりとその地域に住んでいた人の顔を写す。子供もいたりする。1つの都市が隕石によって崩壊する様は、確かにそこにいた人たちが消し飛んだんだろうと言う喪失感を感じさせる。

小惑星に接近した時に2機あるスペースシャトルの1機が隕石の直撃を受けて墜落する。
わざわざ操縦士に「もう終わりだ」と言わせた後に船外に放り出し、助かったシャトルの窓にぶつけたりする。主人公たちの仲間は呆気なく、何の活躍もなく死んだ。
という無常感を引き立てる

この絶望感の引き立て方がこの映画の推進力の一つ。
もう一つの推進力は登場人物達がどこまでも気持ちの良いやつらであること(カリオストロ引用)。

序盤から。ショットガンで人を撃つ主人公、サイコキャラやマッチョキャラ、博打うちなど荒くれ者ばかり。体内から馬用の鎮静剤が検出されるシーンは笑うしかない。

小惑星を破壊するため、小惑星に穴を掘り核爆弾を仕掛けてくる重要任務をこいつらに託すギャップが面白いし、キャラ強集団を映画終了時に思い出せるのがまた良い。(核弾頭ロデオは名シーンとなった)

このキャラ強が上手い推進力を果たしている。上記したようにタフな男達の呆気ない死が続くことが絶望感。絶望に打ちひしがれても切り開く力を勇気に変えて二重の推進力でこの映画はどこまでも続く。

そして家族愛。
この映画は主人公であるブルースウィリス、その娘のリヴタイラー、娘に手を出してショットガンで殺されかけるベンアフレックの関係性がとても良い。

最後の最後まで小惑星破壊は難関続き。難関を越えるたびに小惑星が生きているかのように抵抗してくる。

最後、誰かが残り小惑星破壊を遂行するしかない局面に陥る。クジで最後に残るものを選ぶのだが、ベンアフレックが残ることになる。

ブルースウィリスがベンアフレックに変わり残ることになるのだが、ここからのシーンが何度見ても泣ける。
娘との交際を認めていない厳格なブルースウィリスは、実はベンアフレックのことも息子のように思っており、息子の身代わりになる選択をする。

核爆弾のスイッチを入れる瞬間に人生の走馬灯が見える。隕石の消滅とブルースウィリスの消滅が同時に行われたことを想起させる。
この一連のシーンを見ていると人間や人生の素晴らしさを感じ、自然と涙が出てくる。

ラストシーン、娘の結婚式には死んでいった仲間達の遺影が並ぶ。エアロスミスのミスアシングが終盤になるころには少しだけ涙は乾き、「ああ、良い映画見たな」という深いため息が出る。

この映画は大味ジェットコースタームービーにも思えるが、恋人達が愛を囁き合うシーンの美しさや挿入歌の使い方がとても良く、そんな繊細さもある映画だ。

最後に。
ブルースウィリスがもう見られないことが残念でならない。登場した時の顔で映画の雰囲気がバチっと決まる!こんな偉大な俳優はなかなか現れないだろう。
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