つかれぐま

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔のつかれぐまのレビュー・感想・評価

4.5
22/10/20@gdcs池袋#12
IMAXレーザーGT

友情と自己犠牲というテーマに惹かれた。これはサバイバルと勇気の物語であり、人類がさらに前進するための、最後の抵抗を描いた作品だ。
ーbyピーター・ジャクソン

「二つの塔」とは冥王サウロンと魔術師サルマンという二つの悪、それぞれが拠点とする塔。前作で散り散りになった「旅の仲間」が、この「二つの塔」と闘うシリーズ第二作目。話はかなり複雑になり、ローハンという人間の国が新たに登場する(アラルゴンたちの国はゴンドール、ここがややこしい)。このローハンをサルマン軍が攻め、アラルゴンたちが覚醒したあの人と敢然と立ち向かう。

一方のフロドはサムと指輪を捨てる旅を続ける。指輪の力に毒されたゴラムを道案内に立てるがゴラムとの関係は未だ疑心暗鬼だ。そしてフロド自身も指輪の力に侵され、徐々に精神が崩壊していく。ここがとても辛い。

前作から通しての感想になるが、本シリーズの主題は「友情」だ。独占欲というある種のエゴが働いてしまう「愛」の力では限界があり(アラルゴンをめぐる二人の女性の愛が儚げだ)、無限の団結力が生み出す友情こそが、指輪の強大な力に立ち向かえるのだというテーマ。作中容赦なく連続する(観客も疲れさせる)スペクタクルが、この友情を確かめ強化する役割を果たし、テーマにも大きく寄与している。

観終わった時の達成感。
良くも悪くもこれだけの疲労感を味わせてくれる作品はそうそうない。自分は座っていただけなのに、フロドたちと壮絶な旅をし、一緒に指輪の力に苦しめられ乗り越えた感覚。そしてこれがもう一本観れるという幸福感。

スターウォーズの二作目『帝国の逆襲』は、一気に世界観を拡張した名作として認定されているが、作中に「勝利」がないのが、私には不満だった。本作は3部作の2作目というツナギでありながら、ちゃんと勝利のカタルシスがあるのも、娯楽映画として素晴らしい。