YAEPIN

英国式庭園殺人事件のYAEPINのレビュー・感想・評価

英国式庭園殺人事件(1982年製作の映画)
3.6
すごく久々に観るピーター・グリーナウェイ。

絵画のように均整の取れた構図と様式的な演技、奇妙なクラシック風の音楽にうっとりとしながら鑑賞した。
とはいえ、イギリス貴族らしい比喩たっぷりの回りくどい会話を浴び続けて、終盤はさすがにうんざりしてしまった。108分の尺しかないとは思えない。
比喩の鬱陶しさで言えば、村上春樹を想起した。
イギリス英語地獄という、独特な映画体験を味わうことができる。

ひとつの会話がほとんどワンカットで撮影され、同じ構図の中に登場人物が丁寧に出入りする様子は美しかった。
恐らく入り込む角度や顔の向きまで事細かに支持されていることだろう。

しかし後半で事件が展開していくと編集のテンポが上がり、カットの切り替えが頻繁になされる。
だれるように感じるのは、むしろ画面に技巧的な要素か緩和され、凡庸に見えてくるからかもしれない。

『コックと泥棒、その妻と愛人』ほどではないが、本作でも色彩が統制されている。
画家のネヴィルの衣装の色だけ、常に他の人物の衣装と反転しており、彼が招かれざる客であり、取り入ろうとして全く取り入ることが出来ていないことが示されているように思う。

お高く止まったイギリス貴族英語のおかげで、ストーリーが半分くらいしか頭に入ってこなかったが、誰かあの真っ裸で銅像のフリをする男が何者なのか教えて欲しい。
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