円柱野郎

J・エドガーの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

J・エドガー(2011年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

フーバー役のディカプリオは青年期から晩年まで演じきっているけど、最近の老けメイクは大したものですね。
それはともかく、強権的な手法で半世紀近くも連邦捜査局のドンというイメージの強いフーバーを、どっちらかというと人間臭い部分で描いてきたのは意外だった。
正義をなす決意は母親の影響下で強迫的な志向が強いという印象や、女性関係よりもゲイっぽい副長官との関係など、人間的な弱さが随所に垣間見える。
晩年のフーバーが回顧録のための回想として語るけれど、その話は彼が話を膨らませた部分も多いというくだりもそうだよね。

一個の人間としての弱さという面で、興味深いフーバー像を知った部分はあるけど、個人的にはもっと権謀渦巻く闘争部分も見たかった気はする。
大統領を相手に盗聴内容で脅迫するとか、プライベートファイルの話は出てはくるけども、そちらは流れ上の話かな。
なので少し盛り上がりには欠け、地味な印象になってしまった。
まあ抑えたトーンというのはイーストウッド監督らしいところではあるけど、画的には抑えていてもその裏でギラついた何かがあることが多いので、今作はそこが感じにくくて物足りない。

話としては当時の反共思想やギャングが蔓延った時代の知識がないとおいていかれる部分はあると思う。
リンドバーグの事件も有名な事件だけども、日本では馴染みが薄いかなあ。
円柱野郎

円柱野郎