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イップ・マン 葉問のwhiskeyのレビュー・感想・評価

イップ・マン 葉問(2010年製作の映画)
3.5
良い意味で、昔の香港カンフー映画を見てるようだった。
ドニーイェンは役柄によって表情やキャラクターだけでなく武術スタイルも演じ分けられるそうで、本作は朴訥だが誇り高き青年武術家という感じ。
サモハンキンポーが重要な役どころで活躍するのも嬉しい。なかなか渋い役者さんになりましたね。

この映画を見ていて、今更だけどアクション映画には「ファイター」と「敵役」と「闘う動機」の三つが必要なのだと改めて気づいた。

自ずとアクション映画の主人公は警察官や軍人、スパイ、マフィア、武術家、あるいは超人になる。最近は「実は元スパイだった」的なのが流行ってる。本作の場合はシンプルに武術家であり武術指導者だった。
市井の人が急に見事な格闘や銃撃はできないので、そういう人が主人公だと様子が違ってくる。ターミネーターの第一作はサバイバルホラーに近い。

敵役と、闘う動機も重要で、本作は香港を支配する英国人が敵で、主人公は自分たちの誇りのために闘う。同じアジア人なので主人公たちに感情移入してしまうが、英国側から見たら気分は良くない設定だろう(終盤にバランスとってましたが)。なお前作は未見だが日本人が敵役らしい。うまくバランスをとってくれてるのかな。

エイリアンやプレデターのように敵が絶対悪のような存在だと闘う動機の描写はほとんど不要になる。また「ロッキー1」の主人公はファイターだが、闘う動機が自分の中にあり、悪役としての敵はいない(アクション映画というよりスポーツ映画か)。「ファイトクラブ」の主人公はファイターじゃないし敵はいないし動機も変わってる。あれはアクション映画の要素はない、という理解でいいのだろう。

ちょっととりとめないが、半分覚え書きとして。ともかく、映画を観る新しい眼が持てたのは、本作の鑑賞による大きな収穫だ。多謝。
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