あまりに早すぎた、最悪に過激で、歪曲していて、至極残酷な、反抗期。
ケヴィンはとても冷たい眼差しで母親を見る。物心がついた時、いやひょっとすると着く前から。本能的に母親を嫌っているような、そんな目で。
反抗期とは一種の同族嫌悪に近い、気がする。よく息子は母親に似て、娘は父親に似るというが、だから母親に反抗する息子、父親を毛嫌いする娘というのがテンプレートとしてあるのかもしれない。
ケヴィンも母親によく似ている。黒い髪と瞳。透き通るような白い肌。ケヴィンが母親を睨む眼差しと、母親が嫌がらせを行なうケヴィンを睨む眼差しもよく似ている。作中、2人の顔がフェードアウト&インで重なるシーンが度々出てくるのだが、それを2人の類似を助長していることはまず間違いない。
「あの時はわかっていたような気がしたけど、いまはもうわからない」
最後のケヴィンの言葉が胸に響く。
反抗期は一時的なもの。だからこそ、取り返しのつかないような事はしてはならない。
エズラ・ミラーが綺麗で残酷で虚しく映る映画だった。