まりぃくりすてぃ

ローマの休日のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

ローマの休日(1953年製作の映画)
5.0
完璧! な上に、大好き!!

モデルは大正天皇?(←ちょっと本気めに分析。大正ファンだもん。)

通算8回目ぐらい。友人夫婦宅の超大型TV(30万円ぐらいだって)部屋に招かれ、本作を初めてほぼシアターな環境で観れて夢が一つ叶った♪


映画の評価って、加点式と減点式がある。
例えば、主演男優の光り輝きと伝説的戦車競走シーンをもつ『ベン・ハー』は、加点式での最高傑作かもしれない。ほか、吊り橋シーンをもつ『恐怖の報酬』とか、大見得切り的な数カ所が超有名な『エクソシスト』とか、主題曲あっての『ひまわり』とか、強引さがカッコよすぎる『ゆきゆきて、神軍』とか、、、欠点はあっても大加点要素のおかげで大傑作、な映画は、100点とりたいテストで120点とか180点とかを結果として叩き出しちゃってるわけだよね。
に対して、減点式では、欠点のなさが勝つ。この『ローマの休日』は、原案・ストーリー・台詞・配役・演出・演技・美術・衣装・撮影・音楽・編集、どんな面を見しらべたって、ただの一カ所も直すべきところがない。100点満点なら100点。1000点満点でも丁度1000点。1000000点満点ならやっぱりきっかり1000000点。飽きさせず不快にさせず、わかりづらさも下手さも不自然さも傲慢さも過不足も一切ない。
あとは好みの問題。ヘプバーンとペック(とイイ人役のアルバート)にどれぐらい惹かれたかとか、恋物語を自分が必要としてるかどうかとか。

完璧! な上に、私には本作がどうしても必要!!



ところで、マリんちではファミリー上映会が大切な娯楽の一つだったんだけど、現マリの記憶に残ってる最古の上映会がこれのだったかも。いや、それはディズニー類だったかな、とにかくまだ幼稚園か小1ぐらいで『ローマの休日』を観させられたのだった。
小マリはまだ恋愛理解とかできなくて、王女と女王とお后の違いも言えず、ストーリーも何も噛み砕けず、交響楽が重っ苦しいし、「真実の口」にペックが本当に手を咬みちぎられたと思って恐怖した!
小マリにはこれはホラー映画だった! ローマといえば咬みちぎり。以後それだけをずっと覚えてた。

中マリとなった高校生頃、やっと極上の皇道の(←王道の上を行く)ロマンス映画だと認識し直した。夜会のあたりでもう結末を予期して泣いちゃえて、車中キスのとこで美しさに大泣きして、目がもう乾きようがなくなってるのに記者会見中のライターのとこで笑っちゃえて、ラストのヘプバーンの表情の移ろいの真実味の凄味(新人だとか関係ない、これぞ歴史上最ベストアクト!)にとどめ刺されて、ラストのラストで寒々とした大人の深い味に参って、、、、、、マリ史上最高映画の玉座に早々これ就いた。(今なお最高を維持。)

さらに社会人になってから、大マリはローマを歩いてた。生まれて初めての海外旅行が何と(いろいろワケあって)一人旅。片言の英語と猛勉強したイタリア語ですごく頑張った7泊10日だったんだけど、、、さすがに独力で全部やらなくちゃいけないからトラブルやハプニングも多くて、終わりらへんでは心身ともに疲れ切ってホテルの自室で薄暗い中でずっと床に体育座りしてサッカー中継TVに耳だけ預けてた。。
これじゃダメよね、と翌最終日の昼、(電車での観光地訪問は万一のトラブルで帰国できなくなったらイヤすぎるのでもう取りやめたけど)ローマ市内のそれまで行かなかった方面や近場の裏道とかを精力的にお散歩した。ローマ大学の売店で綺麗な文房具買ったり。
そして、気がつくと、小さな美容院の前にいた。
べつにヘプバーンを意識したわけじゃなく(←ヘプバーンのことなんかむしろすっかり忘れてた)、思いつきで、ドアを押してみた。
というのも、、当時つきあってたカレが、一人旅が好きな人で、よく旅先でふらっと床屋に入る癖をもってた。ホテルや土産屋や飲み屋の人からは聞けないような地元の人の本音をはじめ耳寄り会話がいっぱい収穫になるからということだった。そんな男子の真似をしてみた私。しかし、よりによって異国で。
ほかに客はおらず、狭いし、単なる理髪店だったかもしれない。主人は英語が話せないおじさんだった。「タグリアーレ」とか短く微笑んでおでこに二本指を横に当てたりして、どうにかカットとシャンプーだけしてもらった。「ロツィオーネ?」と訊かれたから「スィ」と答えたら、おもむろに頭のてっぺんから大量のローションをかけられ、おでこを伝ってそれが両目に入り込んで、痛かった。頭皮マッサージみたいなのがついた。
最後、鏡の前でにこやかにしてる姿を撮ってもらって、握手して、店を出た。
帰国して、ずいぶん短くなっちゃった前髪を見た友人や職場の人々は、いきなり笑ったり、変な顔をしたり。散々だった。朝、顔を合わせるなり挨拶代わりに「髪失敗したね?」と言ってくれちゃう上司までいた。
確か、否定派が24名ぐらい。褒めてくれた人の数はもっとはっきり覚えてる。2名。
どういう髪型だったかというと、、、、私が「タグリアーレ(切って)」の時に前髪に指当てたそのまんまというか、かなり上方で奇抜な完全パッツン、サイドや後ろは長めのまま。あまり日本じゃ見かけない感じに仕上がったのであります。