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うた魂(たま)♪のsingerのレビュー・感想・評価

うた魂(たま)♪(2008年製作の映画)
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合唱とかゴスペルとか、バンドとか。
いろいろと歌うことに関わってる自分からすると、共感するところも多かったです。

ストーリーは合唱版「スウィング・ガールズ」のような感じかと思われがちですが、
素材が同じだけで仕上がりはちょっと別物な印象でした。

前半は結構キツかったです。
ストーリーのターニングポイントとなる、七夕の合唱祭まで、惹き込まれる部分が無かったので、前半はフラフラして照準が定まらない感じ。
その後の展開も予定調和でしたね。
それでも、こういうストーリーは王道が一番。
ラスト。
溜まっていたものが一気に溢れ出す、大団円のエンディングはやはり見所です。

キャストで見ると、良くも悪くも夏帆の映画という印象でした。
なので、夏帆はとても良かったと思います。
「天然コケッコー」も凄く良い演技で、注目していたのですが、
今の彼女はちょっと野暮ったくて、天然少女な感じが似合ってるなぁと。
序盤、自己陶酔ばかりしていて、目立ちたがり屋の主人公が、後半に挫折を経て成長を遂げる。
その演じ分けが出来ていたところが良かったですね。ちゃんとメリハリも利いていて、とてもわかりやすかったです。
後、これは持って生まれた物なのかも知れませんが、無心で「ボーっ」としてる表情が凄く良いなと思いました。

でも、ちょっと夏帆にスポットを当て過ぎな印象もありましたね。
主人公を敵視する意地悪な生徒役の岩田さゆりなんかは、もっと使い道がありそうだったのに勿体なかったです。
こういうキャラクターが合唱部に入ってラストを迎えたりすると、脇役として生きるのになぁと。
最後に心変わりした様子をいちいちセリフで説明させる描写も安易な感じで、工夫が無いなと思いました。

合唱部は主人公に加えてあと二人くらい、脇役として生きるポジションがあると良いかなと思いましたね。

ガレッジセールのゴリは・・・やっぱ無理がありましたね。
彼がベストなキャスティングだったのかというと、疑問が残ります。
湯の川高校のヤンキー合唱部も、何か現実感とは程遠く、その点は映画らしくもある反面、ストーリーへの感情移入の妨げにもなってるかなと。

総合的に観ると、自分も「歌好き」なので、ちょっと甘く見て良作という評価ですね。

ちなみに、序盤で主人公のコンプレックスになる、「歌っている時の変顔」は自分も経験があります。
正しい発声で歌うためには、目を見開いたり、口を大きく開けたり、顔の筋肉も使いますし、結構「変」な表情が必要なんですよね。
さらに、そこに感情も加わるわけですから、良いパフォーマンスをしようとすると、顔の動きも激しくなってきます。

この作品の夏帆の歌う表情は、とても良かったと思います。
自分も、上手く歌おうとか、技術的なことを意識し過ぎると、こういう姿勢を忘れがちなので、この作品で改めて気付かされる所がありましたね。
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🎦こちらは2008年9月18日にブログに投稿したレビューです。
昨日の「RED」のレビューでも触れた通り、「天然コケッコー」を観て以来、夏帆の株がメッチャ上がってて、出演作をよく見てたのがこの時期。
加えて、当時はヴォーカルスクールに通いつつ、近所の教会でゴスペルを習ったり、バンド活動をしたりと、自分史上最高に、“歌うこと”にアプローチしてた時期だったと思うので、歌い手としても興味深い作品だったんだなぁと。
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