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52ヘルツのクジラたちのsingerのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
3.7
「雨降って、地固まる」っていう諺がありますよね。
映画を観ていてもも、わりと良く感想として出てくる、そんな諺なわけですが。

この「52ヘルツのクジラたち」。
ちょっと、雨降り過ぎでした・・・。
観ていて、ずっとずっと、やるせない気持ちばかり。

もう、観れば観る程に、心にグサグサと刺さってきて、もう、目を背けたくなる位になりつつも、それでも救いの手が差し伸べられて、世界が変わっていくような、そんな眩い光も感じる、そんな作品だったので、最後まで観て、とてもいい映画だったなぁと思いました。

そして、キャスト陣が、みんな素晴らしかった。

西野七瀬さん、宮沢氷魚くん。
いやぁ、見事な”雨降らし”っぷりでした。
最近の出演作を見ても、ちょっとイメージ壊し過ぎやろって感じの、
そんな演技を見せてくれて、役柄はアレでしたが、個人的に演技は凄く真新しくて良かったと思います。

そして、志尊淳くん。
最高でした。
最初は志尊くんじゃないといけない理由が、よくわからなかったりしたけど、
終盤はもう、これは志尊くんじゃないと絶対、無理って断言出来る位。
そして、いつか、この演技はもう一度観たい。
そう思える位、深みのある演技が、素晴らしかったです。

主演の杉咲花さんも、とても良かったなぁ。
感情の揺れ幅が、とても激しくて、難しい役柄だったと思うけど、
主人公のきなこが背負った人生の中で、時々に切り替わる感情が、とても上手く表現されていたと思うし、ラストの表情も決意に溢れていて、とても心に響くものがありました。

小野花梨さん。
こないだ「Gメン」を観て、その脇での光っぷりに、やっぱりいい女優さんだなぁと思ったけど、今作でもとてもいい存在感が際立っていました。

最後に、この作品を観ながら、思った事があります。

人が人を救えるんだろうか?と、時々考えたりする事がある。
もし、自分が同じような立場立った時、この作品の登場人物たちのように、
その人を豊かにしたり、希望の光を示したり、そういう事が自分にも出来るのだろうか。

今は、まだわからないけれど。

少しでもいいから。
今は使えたり、動いたりは出来ないとしても、
その心は、いつも用意しておきたいなぁ。
そして、すぐに取り出せるよう、心の中に置いておけるといいなぁと。
そんな風に、思わせてくれる作品でした。
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