ぬーたん

野のユリのぬーたんのレビュー・感想・評価

野のユリ(1963年製作の映画)
4.8
ここのところ辛口レビューが続いたが今日は甘口、しかも超甘口レビューを!この映画、昔子供の頃に観たきりで、ずっとまた観たいと思っていたが、ツタヤもゲオもレンタルなし!BSも放送しない!中古DVDを買うかと調べたら結構高いし、う~ん、と思いつつ早10年位経っている。そしたら遂に放映が!神様仏様WOWOW様!ありがとう。念願の作品、あまりにも昔なんでほぼお初のような感覚。1963年の映画はもう58年前。日本初放送は71年なので私が観たのは75年頃かな?そりゃ忘れるわね。
主演のシドニー・ポアチエは35歳位。現在93歳で健在。予定日より2か月早く生まれた小さな赤ちゃんがこんなに長生きなんだから人生分からんね!今作でアカデミー主演男優賞を獲った。黒人俳優では初の受賞。黒人俳優と言えば労働者のような役ばかりだった当時の映画界で、賢くて知的なイメージの黒人俳優は初めてだった。今ならデンゼル・ワシントンだろうけど、彼は案外悪役もするが、ポアチエは悪役はなかったと思う。そのイメージはずっと教養ある善良なジェントルマンのままだ。特に『夜の大捜査線』が大好き。
旅をする青年ホーマー・スミスにポアチエ。途中で出会った修道女たち。色々あって、彼女たちのために教会を建てることになる。ポアチエ、スタイル抜群。脱いでも逞しいし、足が長い!カッコいい。声も好き。
マザー・マリアにリリア・スカラ。98歳まで生きたから長生きだったね。このマザーを観てると『サウンド・オブ・ミュージック』を思い出す。一生懸命手伝うホーマーににべもなく、冷淡と思うが全ては『神の思し召し』らしく、ホーマーは『神の遣わした者』という考えで、当然の如くこき使う。その憎たらしいマザーに比べ、他の4人のシスターたちは感じ良く好意的なのが救いだ。
ホーマーが歌うエイメン♫ゴスペルだ。これがもう耳について離れない。修道女たちがエイメン、エイメン、エイメン♫と歌うその言葉に重ねて次を歌い出す、あの心地良いリズム。その歌詞も面白くて。最高!
何で『野のユリ』なんだろう?という答えもちゃんとあり納得。
街の人々との関係、少しずつ分かり合っていくその気持ちの変化。教会の建設。全てが素晴らしく、感動的だ。何しろラストがいい。
こんな素敵な映画が機会なく観れないで、どうでもいいくだらん映画が巷に溢れている。勿体ないし、おかしなことだ。でもまあ、この古き良き映画は昭和人間しか分からないのかもしれぬ。ポアチエのでは『いつか見た青い空』と『いつも心に太陽を』もレンタルがなくてずっと観たいと思ってる。放送ないかなあ?
さて、今日は古い映画に合わせてオヤツは渋く老舗の六花亭の昆布蔵&大平原と熱いほうじ茶で。
5点満点付けたい位好きだが、あまりにマザーがつれなくて腹立たしかったので、少しマイナス。好意にはきちんとお礼を言わねば!神の代わりに感謝せよ!
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