突然だが、アリゲーターとクロコダイルの違いをご存知だろうか。
調べによると、口を大きく開いた時の先端が、尖った“A”の形に見えるのがアリゲーターであり、緩やかな“C”の形に見えるのがクロコダイルらしい。
そこで、ワニ映画。
2003年にオーストラリアで実際に起きた事件を元に、本物の沼地とマングローブ、そして本物の生きたクロコダイルを使い、まるでドキュメンタリーを観るかのようなタッチで描かれた動物パニック映画だ。
釣りを楽しむためにボートで河へ出た夫婦とその妻の妹と案内人が、突然巨大なクロコダイルに襲われる。
絶体絶命、助けを呼ぶ手段もなく、濁った河に潜む見えない敵のワニ。
物語は冒頭から直ぐ様、恐怖へと急展開し、そのテンポの良さと、サメ映画にはない“シチュエーション”と“違い”に新鮮味と期待を持つも、主人公らが一先ず安全を確保すると、その後の展開が些かルーズになってしまったような感があり、とても残念。
実際の話では、救助が来るまで22時間という途方もない時間を木の上で過ごしたというが、まさかそれをそのまま映像化したところでは、とうてい作品としては成り立たない。
そのため、別のエンディングを用意した理由は分からなくもないが、たとえ実話通りの結末でも、物語自体の演出次第では、もっと優れた作品になっていたのではないだろうか。
よって、本作のワニは“A”でも“C”でもなく、“B”(級)に属することをここで発表する。
106 2021