ベビーパウダー山崎

白く濡れた夏のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

白く濡れた夏(1979年製作の映画)
3.5
ポルノ映画として90分超えの長尺、池波志乃が轢き殺した被害者の父に犯されそうになる45分ぐらいで映画は終わってもよさそうだが、そこからさらに45分、事故の(心の)痛みを引きずり、池波志乃が決意するまで「映画」がともに彷徨い、付き添っている。あのとき殺した男と逃げた男、どこにも居場所がなくなり孤立していく女。加藤彰の映画はたいてい過去に苦しめられる。長谷川明男は写真を撮り、池波志乃は声を録音する。見る(見てしまった)ことに反発して耳で聞く。海辺に集まっていた若者にとって池波志乃は夏の亡霊。あの暑い夏、不倫相手を殺したやけに色っぽい年上の美人がいてさ…。強面のおっさんが入り込めるような物語ではないのに、若者に交じる人の良いおっさん役でなぜか出演している高橋明は加藤彰に相当愛されていたと思う。