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シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛のHKのレビュー・感想・評価

4.2
ジェームズ・カーンの訃報を聞き代表作の1本である本作を約40年ぶりに追悼観賞。
“かぎりなき愛” なんて副題ついてましたっけ。
初めて観た10代の頃こんな副題がついてたら観てなかったかも。
“シンデレラ・リバティー”とはアメリカ海軍の俗語で、水兵の深夜12時までの外出許可のこと。
ある孤独な水兵と寄港した町での子連れ娼婦との出会いを描いた名作です。

原作は『さらば冬のかもめ』『30年後の同窓会』のダリル・ポニクサン。
上記を含め3作品とも海兵または元海兵が主人公で、本作では脚本もポニクサン。
どれも映画化されており、どの作品も同じ空気を感じますが私は本作が一番好きです。
監督は『華麗なる週末』『ローズ』『黄昏』のマーク・ライデル。

本作は『ゴッドファーザー』の翌年の公開作品で、私が観たのはどちらも公開から数年後のTV洋画劇場ですが、短気で暴力的なソニー・コルレオーネと、本作の無口で無骨で優しい水兵ジョン・バグス(珍しく髭)の2つの役が、当時の私にジェームズ・カーン(当時33歳)を名優として定着させました。

登場シーンは魅力的なお尻からの名女優マーシャ・メイソン(当時31歳)もすごい存在感。
メイソンはちょうど脚本家ニール・サイモンと結婚した年で、本作と後のサイモン脚本の『グッバイガール』で2度ゴールデン・グローブの主演女優賞を受賞しており、私にとってもこの2作品が印象的で代表作です。

本作ではまた、名優イーライ・ウォラックがよいアクセント。後に『キラー・エリート』でも共演するバート・ヤングの姿も見えます。

本作の音楽は『未知との遭遇』『スター・ウォーズ』でブレイク前のジョン・ウィリアムズ。
同年には『ロング・グッドバイ』や『ペーパー・チェイス』の音楽も担当。どれも大編成のオーケストラとはまた違った味のある楽曲が聴けます。
とくに本作の主題歌は歌詞と歌ポール・ウィリアムズ(ご存知『ファントム・オブ・パラダイス』のスワン)。
もの悲しいハーモニカはトゥーツ・シールマンス(『真夜中のカーボーイ』『ゲッタウェイ』)。
この曲は昔、私が持ってたオムニバス・サントラLPにも入ってたのでよく聴きました。

カーンの作品は『グッド・ネイバー』(2016)を観たのが最後。
享年82歳、日本人の男性の平均寿命と同じですね。
共演が多かったロバート・デュヴァルも寂しいだろうなと思ったら、デュヴァルの方が10歳近く上の91歳でご存命、そんなに年が離れてるとは思いませんでした。
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