円柱野郎

少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

1997年に放送されたTVアニメの劇場版。
主人公である鳳学園の転校生・天上ウテナは、その学園で“薔薇の花嫁”と呼ばれる少女・姫宮アンシーを巡る生徒たちの決闘に巻き込まれていく。

作画の力の入り様はすごいね、まさに劇場版にふさわしいレベル。

ストーリーはTV版とはキャラ設定が微妙に違うし、だいぶ別物になっている。
90分弱で話を纏めるための改変としては大胆だけど、雰囲気やテーマは「ウテナだな…」と納得できる。
映画だけで完全に独立した話ととらえて良いけれど、TV版を踏まえていないと伝わらない部分も多い。
(七実が牛で登場してきたのはTV版観てないと理解不能だけれど、コメディエンヌ化した時のこのキャラの破壊力はさすがw)
暗喩とケレンに満ち、辻褄よりもイメージが先行してできたかのようなビジュアルや演出は、さらに奇抜になって目を引くところでもある。
というかメタファーが飛躍しすぎてよくわからん所もあるんだけどw
ただ大人の事情かもしれないけど、鳳暁生の声が及川光博に変更されていたのはどうしても気に入らない。

観ていて感じるのは、ここで描かれる革命が世界に閉じこもるアンシーの飛躍であって、主人公であるウテナはどちらかというとそのきっかけを作る者でしかない感じ。
終盤にウテナが車になってしまったあたりで、話の主体性が完全にアンシーになるのでもうすっかり主人公に格上げか。
TV版であれだけ“自己”が感じられなかったアンシーの性格変更にはちょっと驚くけれど、TV版が過去にとらわれたウテナの革命によって終わるのと対比すれば、この話がアンシーの閉じた少女世界から外の世界(大人)へと向かう革命の話ということで納得。
その表現が奇抜ってことだけでねw

しかしこの革命の話は、ある意味で「エヴァンゲリオン」後における一つの回答の様な気もするなあ。
考えすぎか。
それぞれに影響がないとも言い切れないし、その辺を考えると興味深い。
円柱野郎

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