ほーりー

若草の頃のほーりーのレビュー・感想・評価

若草の頃(1944年製作の映画)
4.6
「雨に唄えば」や「オズの魔法使」「バンドワゴン」「巴里のアメリカ人」に比べると、なかなかレンタル屋さんに置いてない映画だが、どっこい忘れてもらっちゃ困るぜというぐらいのMGMミュージカルを代表する傑作であります。

思わず心がウキウキするような名曲「トロリー・ソング」はじめ音楽がいいのは勿論だが、内容もまた同じぐらい充実している。

主演はジュディ・ガーランド。そして監督はこれがきっかけで結ばれることになったヴィンセント・ミネリ。

舞台は1903年のセントルイス。本作公開の40年前が舞台で、いわば「ちびまる子ちゃん」のような古き時代の家族の日常を描いた作品。

当時のセントルイスは翌年に万博が開催されており、その影響で町中が浮き足立っている中、ある中流階級の家族の1年間を微笑ましく描いている。

ジュディは5人兄妹の次女役で、隣の家に引っ越してきた青年(トム・ドレイク)に恋してしまい、自宅のパーティーに誘っているがなかなか靡いてくれない。

そうこうしているうちに法律家の父(レオン・エイメズ)の転勤話が持ち上がり、大好きなこの町と離れければならないことに意気消沈する。

このお父さん、色々と家族のためを思ってやってるんだけど、妻(メアリー・アスター)や子供たち、そしてお爺ちゃん(ハリー・デイヴンポート)、お手伝いのオバサン(マージョリー・メイン)の中で浮いてる存在になっていて可笑しい。

ストーリーとしてはたわいもないのだが、2時間があっという間に感じるほどこの映画は面白い。

その大きな理由は、ほのぼのとしたテイストの家族の会話の合間に出てくる毒気である。

思わずプッと吹き出してしまうような棘のある台詞が絶妙なタイミングで出てくるのが良い。

また印象的なのが四女のマーガレット・オブライエン。同時期の名子役ナタリー・ウッドに比べて大人の役者として大成しなかったけど、本作のオブライエンはまだ7才とは思えないほどの名演!

そしてハロウィンの夜、オブライエンが勇気を出して独り歩く場面で心細さを映像だけで表現するなど、ミネリ監督の演出もこれまた素晴らしい。

■映画 DATA==========================
監督:ヴィンセント・ミネリ
脚本:フレッド・F・フィンクルホフ/アーヴィング・ブレッチャー
製作:アーサー・フリード
音楽:ロジャー・イーデンス/ジョージ・ストール
撮影:ジョージ・フォルシー
公開:1944年11月28日(米)/1951年3月10日(日)
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