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風が吹くままのgenarowlandsのレビュー・感想・評価

風が吹くまま(1999年製作の映画)
3.8
ユーモア溢れていて面白かった。最後に浄化されるのはキアロスタミ監督らしい。

広大なイランは多言語、多文化の多民族を抱えている。山岳地域のクルド人村の葬儀が一風変わっていると聞き、取材にきたテレビ局のディレクター。だが危篤状態の高齢の女性になかなかお迎えがやってこない。クルー達は帰ると言い出す。

山岳地帯の景色が美しい。緩やかな丘一面に金色の麦畑が広がり風にそよぐ。その丘が波のように幾重にも連なっている。

岩山の間に隠れるように寄り添う土の家々。インテリア好き必見。乾いた土の壁にトルコブルーの扉や窓が愛らしい。

テヘランからやってきたディレクターの苛立ちせわしない都会のペースと、神さまの意のままに生きる人びととのズレがおもしろい。

イランとは思えぬ「あの世はない」等来世を疑う会話もありながら、
死を待つことに罪の意識をもちつつ、穏やかな村びとの倹しい日常と広大な自然の中で神の意思を感じていく。

生と一体になった死。

2時間もの。いつも通りに短めでもよかったと思う。
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