このレビューはネタバレを含みます
【女性のことはわからない】
女性だから描ける部分は確かにあるだろう。
世の中に不満を抱える女性の心の中は男には理解し難いものがある。
作中に登場する2人の女性は、年齢も境遇異なるが、現状に不満を抱えているという共通点を持っている。
その不満は、社会や家族のせいであったり、女性としての存在意義であったりする訳だが。
暗い世情の中で、より良い生活を望む場合、労働者として頭角を現すのか、力のある男性と結婚し子供を授かるのか、この場合の選択肢はどちらかとなろう。
2人の女性はそれぞれ結婚や出産を望む。
しかも片方は不倫であり、片方は海のものとも山のものとも分からない若者が相手だ。
現代においては、女性は子供産むためのものなどと言えば、たちまちバッシングを受けてしまう。
確かに現代では、色々な選択肢が人生に存在していて、自由に選ぶことができる。
しかし、それは生物として元から備わっているものではない。
全ては後付けなのだ。
このように考えると、現代よりも、少し前の人々の方が、人間という存在やその生物としての本能的な在り方を、より理解できていたのかも知れない。