やまモン

エレメント・オブ・クライムのやまモンのネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

【存在の危うさ。】

犯罪心理学に心酔するあまり、犯罪者の心理をなぞり過ぎて、ついに同化してしまう主人公。

ボロいホテルも、病気持ってそうな東洋人の娼婦も、何処だかよく分からい水路なども、現実と非現実の境界線が曖昧な描写。

題材はサイコな犯罪なのだが、一面では心理劇のような雰囲気もある。

しかし結局は主人公の中で自己完結している話なので、そうとも言い切れない面もある。

心酔したものに取り込まれるというのは、良くありそうなことであるが、それ故に、己が分裂してしまうのは、果たして悲劇的なことであろうか?それとも喜劇なのか。

後味の気味悪さもさながらに、これが長編デビュー作とは恐れ入る。