このレビューはネタバレを含みます
【故郷とは】
大都会ニューヨークの70年代当時の様子と、ひたすら朗読される母親からの手紙。
無機質な都会の雑踏と人間的な故郷の香りの対比がとても面白い。
これは恐らく70年代や80年代の東京に、田舎から出てきた人たちの境遇にも通じるものがあるかも知れない。
都会の風に吹かれながら、故郷からの手紙を読み上げる時、人々は何を感じるのだろう。
温かさに泣く人もいれば、冷たい目で一瞥するだけの人もいるだろう。
親の心を子供は理解できないかも知れない。
それでも故郷は確かに存在し、私たちの心の袖を引く。
都市で生活している人には何かしら響くであろう作品である。