円柱野郎

ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記の円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

藤子・F・不二雄先生は本作の執筆途中で亡くなられたので、原作としては本作が遺作。
正直言うと、映画として観た場合、個人的には少し物足りないと思う部分もある。

「種まく者」という存在が、SFとしては上位的な存在として示唆に富んでいるとは思うものの、のび太達に後を託すだけの根拠としてはちょっと積み上げが弱い気がする。
他には、「星の環境を守らないと~」というくだりは「アニマル惑星」でも言っていたテーマだし、町の発展では「雲の王国」や「創世日記」と想起させる部分もあるものの、それらに比べるとワクワク感は及ばないかな。
スペアポケットを使った話の仕掛けも「ブリキの迷宮」であったネタだよね、どうも近作からの再構成の印象が強いんだよなあ。
まあ、それにはいろんな事情もあるのかもしれないけど、あくまで映画一本とみると物足りない。

オチの小便小僧は、藤子F先生らしいギャグだなとは思う。
小便小僧自体の出自を考えると、火を消すという使い方自体が正しいというのはさすがだよねw

本作の敵は、熊虎鬼五郎という前科百犯なんて漫画みたいな(w)前科数の脱獄犯だけど、その割にはそこまで猛烈な悪漢に見えないかな。
このへんは「ドラえもん」という作品世界に合わせた悪人像なのかなとは思った。
しかし熊虎鬼五郎の順応力の高さは、よく考えると面白い。
最初は戸惑っているものの、どこでもドアで別の星に来たことを理解しているし、自分のコピーが大量に発生したこともすんなり受け入れているし。
作品を通じて冒険してるのは、どちらかというとのび太たちより鬼五郎なんじゃないか?と思ってしまったw

それだけにラストの改心が、図らずも道具によって良心(ホクロ)が前面に出た結果だというのがちょっと残念。
改心するのであれば、どうにかして熊虎鬼五郎自身のままで改心してもらいたかったけれどなあ。
円柱野郎

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