るる

ドラえもん のび太のねじ巻き都市冒険記のるるのネタバレレビュー・内容・結末

3.5

このレビューはネタバレを含みます

変な映画だよな。でも、遺作だと思うと、種蒔く人のセリフ、飛び去って行く姿は完全に作者の言葉で、さいきんWikipedia見たらその解釈で合ってるとわかって、大人になってから改めて仲間を見つけた感じ、藤子先生からのメッセージを受け取った人がこの世にはたくさんいるんだという、心強さみたいな。映画やドラマを見て深読みしたり独自解釈したりしてると孤独を味わうことのほうが多いので日々辛くてしんどいんだけれども、これについてはなんというか、安心できた。

変な映画だなと感じつつ、繰り返し見てたな。あのチンパンジーが、パンダや小便小僧やガイコツを連れてくる、あの音楽とやっちゃいけないことを楽しくやってるワクワクが好きだったし面白ポイントだった。それやっちゃダメだよ見てられないー!より、ソレイケもっとやれー!だったんだよな、チンパンジーの無垢さに愛嬌があったからかな。境目はどこなんだろうな。見つけたい。

熊虎鬼五郎って物々しい名前も好きで。前科百犯、なにしたらそんなことになるんだ?って感じだけど、語感がいいよな、ゼンカヒャッパン。

壊れたドラえもんがアッサリ元に戻るのは、『雲の王国』『ブリキの迷宮』と比べると物足りなかったんだけど、『海底鬼岩城』のおかげで宇宙でテキオー灯が切れたらどうなるんだろうと勝手にハラハラしていた。

ホクロのキャラクター、声が良かった。百人のクローン、そのうちたったひとりだけ、良心の具現化だよな。『火の鳥生命編』も連想するけども。藤子さんて手塚治虫のことどれだけ意識してたんだろうか、浅学ゆえに知らないんだけれども。

藤子先生についての良いムック本があったら中古でいいから買いたいんだけどどれがいいのかな。ないのかな。各映画の元ネタについての解説本とかないのかな…芝山努監督の全仕事解説本があったら買いたいんだけど…なんとかならんかな…

普段ポンコツののび太パパが脱獄犯のニュースを知って「上の子供たちにも知らせてこようか」と言うの、頼もしさを感じて良かったし、

前科百犯の脱獄犯なんて近からず遠からずな人間の悪役を出して、どうハッピーエンドを迎えるんだと思ったら別人格に同情させた上で自首、ホクロさんならきっと大丈夫、罪を償って出てこれるはず、と思える、人の善性を信じたくなる、落とし所としては完璧なのでは…

どうして自分がやったことじゃないのにホクロさんが自首しなくちゃならないの、と思った子供時代もあったけれど、別人格であれ自分の一部がやったこと、という意識があったから自首したんだろうともわかる、いやそんな意味は込もってないかもしれないが、筋が通ってるんだよな…ソコ大事だよな…

市長を決めた動物たち、市民社会の誕生の様子をリアルタイムで見ている、という感じが面白かったな、
「人間の真似してるのよ、かわいいわあ」というしずか、のんきすぎだろ、謎の知的生命体が急速に文明社会を築いてるんだぞ、とか思ったけど。子供のままごと見てる感覚なのかな。

とはいえ、ジャイアンたちに、環境破壊はやめてくださいと進言するぬいぐるみたち、偉いなって思ってた。改めて見ると本当に偉いよな、ドラえもんさんたちなら説得したらわかってくれると信じてたから言えたんだろうな。
イマドキの親は子供が政治的なこと言うとやめなさいとか言うんだろうか? それはそれで怖いな…生徒会の選挙とかなくなっていったりして。笑えねえな。

あくまでドラえもん映画のファンであって、原作はちゃんと読んだことなくて、読んだら多分しずかちゃんの扱いとかにがっかりする予感はあるんだけど、原作者がこの作品の制作途中に死んでしまった、というのはそれなりにショックで、次作以降に急速に興味が持てなくなっていったんだよな。コナン映画、ジブリ映画に移行して、やがてしばらく映画館にも映画そのものにも触れない時期に入ってしまって。

感慨が今更。
るる

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