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空の大怪獣 ラドンのSHIMABOOのレビュー・感想・評価

空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)
4.0
 最後にラドンが力尽き、溶岩のなかに落ちてゆくとき、なぜ白川由美は悲しい顔をしていたのか?

 あれは明らかに、飼っていた小鳥をラドンに重ねている。人間の楽しみのためにカゴのなかで生かされる鳥と、人間の都合で殺されるラドン。両方とも生殺与奪の権利を人間に握られている。ただ人間の基準によって一方は生かされ、他方は殺される。でも俺は、ラドンは怪獣であって害獣では決してないと思う。ちょっと図体がデカいだけ、ただそれだけなんだ!!(人を殺すからといって敵だというやつはちょっと甘い。実際人食いザメも獰猛なクマもいる。単に人間の力が比較すると弱いという自然の摂理があるだけで、ヒューマニズムは人間が後から考えたものに過ぎない)

 やはり怪獣に対する作り手の”思い”が伝わってくるのが、良い怪獣映画の条件だと思った。というか、公開から半世紀以上たった今でも我々の心を揺さぶる強固なドラマをこんな(って言ったら失礼だけど)特撮映画で展開していること自体が驚異だ。やっぱりちゃんとマジメに作ってるんだなあ。

 ま、操演の糸がチラチラ見えちゃうのはご愛嬌なんだけどさ。
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