円柱野郎

空の大怪獣 ラドンの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

空の大怪獣 ラドン(1956年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

東宝怪獣映画初のカラー作品。
阿蘇の炭鉱で起きた出水事故と謎の殺人事件。
その調査に炭鉱の奥へと向かう炭坑技師や警察だったが…。

上映時間は82分。
その半分はラドンが出てきませんw
というか前半と後半で映画のテイストがガラッと変わる感じ。

前半は、どちらかというと炭鉱で起きた怪事件を中心として、その真相が体長数メートルのヤゴ“メガヌロン”のせいだったことも含めて「ウルトラQ」の様な特撮SFドラマ的な雰囲気。
当時の炭鉱労働達の生活の様子が垣間見える部分も、今となっては興味深いね。
一方後半は、ラドンと自衛隊機の空中戦やラドンに破壊される福岡の迫力が見ものとなる、まさに怪獣映画という雰囲気。
まあ一応、阿蘇がラドンの巣であったということや、メガヌロンはラドンの餌だったという様な前後半での繋がりはあるけれど、何やら別の映画と言われても納得してしまいそうな感じでもある。
個人的には前半の雰囲気が好きだなあ。
ここだけの話、メガヌロンのファーストルックには失笑しかけたけどねw

特撮怪獣映画としては、半世紀以上前に複雑な空中戦を特撮で描き切った円谷英二の技術が堪能できるので非常に見応えがある。
ワイヤーワークの飛行機が橋の下をくぐり抜けるシーンは名場面だよね。
一方でラドンと戦車の地上戦は、破壊される福岡の精巧なミニチュアは見応えがあるものの、戦車やロケット砲の砲撃シーンがやたらとクドイ。
クライマックスの阿蘇の爆撃もそうだけど、そりゃあバカスカ撃ちまくる戦車やロケットは迫力があるかもしれないけど、これだけ繰り返されるとちょっと単調になる線をギリギリ越している…かも。
少なくとも俺はくどいと思ったけども、まあその辺は当時の特撮屋なりのサービスだったのかもね。

阿蘇の噴火はデカい花火に見えなくもないが、そこは脳内補正できる範囲かな。
流れ出る溶岩はてっきり色のついた絵具みたいなものを流しているのかと思ったら、溶鉄を流していたんだとか。
凄いこだわりだ…。
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