カツマ

天使のくれた時間のカツマのレビュー・感想・評価

天使のくれた時間(2000年製作の映画)
3.9
気付けばはらはらと雪が舞っている。彼はもう残された時間が少ないことを悟った。愛する人の安らかな寝顔、彼女とどんなに離れたくないと願っても、人生の時計は戻らない。あるはずのないもう一つの人生は、奇跡のように輝いているのに。
彼は戻る、あの孤独な日々に。そう、だってそれは『天使のくれた時間』だから。

これはクリスマスに起きた奇跡のようなファンタジー。人生は一方通行の道。他の道があったとしても、それは選ばれずに消えていくだけ。そんな消えたはずの道を浮かび上がらせて、本当に大切なものにスポットライトを当ててみせた。懐かしい息遣い、それは忘れたはずのラブストーリー。

〜あらすじ〜

13年前、空港で二人は人生の分かれ道にいた。大学生のジャックは仕事の成功のためロンドンへ渡ろうとしていたが、恋人のケイトに引き留められる。たが、ジャックはケイトの制止を振り切ってロンドンへと飛んだ。そして2人は再び会うことはなく、13年の月日が流れた。
そして今、ジャックはNYのウォール街で金融会社の社長として君臨していた。高級ビルの最上階に住み、セレブな独身貴族を謳歌していた。所帯を持たないジャックにとってはクリスマスなど関係なく、重役会議でもビジネスの話ばかりだ。
その日の夜の帰り道、ジャックはとあるコンビニで出会った青年との会話の中で、『自分は全てを持っている』と吹聴する。空からは雪がはらはらと落ちてきていた。
翌日の朝、ジャックが目覚めるとそこには13年前に別れたはずのケイトと、2人の子供がいた。自分が父親に?自分はウォール街の覇者だったはず。ジャックは混乱の中で、もう一つの未来を生き始めることになり・・。

〜見どころと感想〜

ニコラス・ケイジ、ティア・レオーニという、当時の人気俳優共演で撮られたやや時代を感じさせる作品だ。荒さの残る映像に、まだギリギリ毛髪に守られたニコケイの頭皮が、ズッシリと時の流れを感じさせてくれる。

当時人気絶頂で大作の出演が多かったニコケイが、感動ドラマでその演技の幅を見せつけることに成功した作品かと思う。天使役がドン・チードルというところも粋で、正に『天使に見えない天使』の史上最高峰ですね(笑)

時間はきっと戻らない。人生は一方通行の道だけれど、出来ることなら天使が必要のない人生を送っていたい。生きている今が、『天使のくれた時間』なのだと思うために。

〜あとがき〜

今年はクリスマス期間にクリスマスっぽい映画をたくさん見てしまいました(笑)
この作品も舞台はクリスマスイヴからスタートするので、寒い時期にピッタリの作品かと思いますね。

さて、今年もあとわずか。一年の締めの一本を考えながら、あと数本は見ていきたいところです。
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