くろねこヤマ子

灰とダイヤモンドのくろねこヤマ子のレビュー・感想・評価

灰とダイヤモンド(1957年製作の映画)
4.2
はためく白いシーツ。
染みる鮮血。

暗殺を失敗した反ソ派青年の
恋ゴコロとレジスタンス運動。
揺れる姿と
その末路を描く物語。

傀儡政権として暫くの間、
ソビエト連邦に支配された国
ポーランド。
複雑な政治状況を
理解した上で観ると
ストンと分かりやすい。

ちょっとした青春映画の中に、
ソ連への嫌悪感や体制批判を
巧みに反映したところが憎い。

そして内容もさることながら
スタイリッシュな映像表現がたまらない。

チャーミングな主人公の
かっこ付けの青さと相まって
これまた素敵。
逆さに吊るされたキリスト。
雨上がり、打ち上がる花火。
酩酊の明け方、残る女。

ワンショットワンショットが渋く、
写真として切り取って飾りたい構図の数々。

瓦礫の上のシーンに皆が痺れるのも、納得。