ゆーさく

蒲田行進曲のゆーさくのレビュー・感想・評価

蒲田行進曲(1982年製作の映画)
3.8
京都の撮影所を舞台に、名もなき斬られ役俳優ヤスさんの悲哀と葛藤のドラマを、無駄にテンションの高い演技で描いた人情コメディ。


傍若無人なスター俳優銀ちゃんと、その付き人で銀ちゃんに憧れ続けるヤス。
そして、銀ちゃんの子供を妊娠しながらも、出世の妨げになるからヤスと一緒になれと銀ちゃんに命じられた女優の小夏。


ほぼこの3人のドラマ。

正直言って銀ちゃんはマジでクソ野郎だが、ちょいちょいコミカルなので、ギリギリのところで憎まれ役になってない、絶妙のバランス。
愛車はキャデラックだが、免許は持ってないって設定が笑える。
そしてキャデラックのデコレーションが壊滅的にクソダサい。

主人公ヤスは、日の目を見ない大部屋俳優。
ビルから飛び降りたり、障子を突き破ったりしながら日銭を稼ぎつつ、小夏に尽くす姿に、笑いと悲哀が同時に漂う。


小夏は可愛い。ていうか松坂慶子が可愛い。
銀ちゃんと付き合ってる時はケバくて不細工だが、ヤスと一緒になってからの健気で清楚な姿は抜群の可憐さ。

「目を開けたときアンタがいなかったら、私生きていけない…」とか

「女はね。いつも一緒にいてくれる人が一番なのよ…。銀ちゃん一緒にいてくれないじゃない!」とか

小夏のセリフは、捻り無くストレートだけど、それが逆に印象的。



コイツら3人とも、ちょっとずつ馬鹿でクズなんだけど、だからこそ共感出来るというか、本音さらけ出してる感じが好感持てるというか、そういうとこ、なんかちょっと泣ける。


ヤスが階段落ち撮影の前夜に、小夏の前で酔って暴力的になるシーン、めっちゃ好き。
部屋中まんべんなく破壊しながら、女房に暴力振るいながら、結局最後は「アンター!!」「お前ーー!!」って二人で抱き合う。アホかと。



つかこうへいのセリフって、なんか潔くて好きやな。
直接的な表現で無くても、伝わる感情はストレート。
ゆーさく

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