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雪国のsayuriasamaのレビュー・感想・評価

雪国(1957年製作の映画)
4.1
地方の女性と都会の男性のつれなくて儚い関係が、モノクロに燃える作品

原作小説である川端康成の雪国を読んだのは遥か昔、なんとなくの状態で観たのですが、こんなに情熱的で写実的な美しさに富んだ作品とは思いませんでした。
岸惠子演じる駒子の、田舎に置かれた境遇の恵まれない中なんとか生きるいじらしさあふれる熱演と、それを冷たく、いわば自己中に受ける池部良の残忍すぎる美しさが、モノクロの雪景色と、ろうそくの炎、暗闇の中に躍動する、ものすごい熱量の映画でした。

そして、脇を添える八千草薫も可憐なこと。ラストは映画オリジナルのエンディングだそうですが、書きっぱなしでも余韻の残る小説とは違い、ある程度エピソードで終わらせないと締まらないので、これはこれで。

戦前を舞台にしているのですが、現代にも通じる悲惨さが、嫌になるほど美しい越後湯沢を舞台に繰り広げられる、大作でした。
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