こたつむり

神の左手 悪魔の右手のこたつむりのレビュー・感想・評価

神の左手 悪魔の右手(2006年製作の映画)
1.5

♪ 猟奇を羅列し続けた不確定な賢者が
  禁断の書物を開き 結末を読み上げる

冒頭から不穏な雰囲気は漂っていました。
何しろ“あの”『デビルマン』を仕上げた「那須博之監督に捧げる」というメッセージから始まるのです。地雷臭しかしません。

そして、それに値する棒読みの演技。
虚空を睨む魚のような眼。
楳図かずお先生のマンガが原作だから「もしや高度なギャグなのではないか」と思うほどにリアリティが存在しない展開。

後から知りましたが、那須監督が仕上げる予定だったのに不幸にも急逝されたため、金子修介監督に引き継がれたとか。しかも、脚本を手掛けたのは那須監督の助手。やはり本作を支配していたのは那須監督の想いだったのですね。

だからねえ。
あまり酷いことは言えないのですよねえ。
鑑賞中に「スタッフロールが50分くらいあっても良いから、本編は終わらないかな」と思ったなんて口が裂けても言えないのですよねえ。

近所の工業高校で行われる文化祭レベルの表現だって那須監督に捧げられた供物。死者に鞭打つのは、日本の文化として“アリエナイ”ので、糸と針で口を塞がないとイケマセン。

そんな中で異物だったのは田口トモロヲさんの熱演。イカれた殺人鬼を見事なまでに再現していました。ぶっちゃけた話、本作の雰囲気からかけ離れすぎていて“邪魔者”に見えたほど。この熱演がなければフィルム全体がNG大賞だったのに。

あ。でも。
女優さんたちから仄かな色気を感じたのは“見どころ”かも。リアリティラインが壊滅的とは言え、一応R-15ですからね。週刊プレイボーイのグラビア程度の刺激ですが、分かる人には分かる“ご褒美”でした。

まあ、そんなわけで。
日本四大○○映画(○○には好きな罵倒を入れよう!)に匹敵する虚無への供物。平成以降の作品で女性が「××だわ」という言葉遣いをしたら…色々と察した方が良いですね。
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