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おとうとのskm818のレビュー・感想・評価

おとうと(1960年製作の映画)
3.8
幸田文が自分の家族をモデルに書いた作品を映画化したもの。原作は昔読んだ。4人家族のそれぞれがわかりにくい優しさを持ちそれぞれが傷ついている話だった。田中絹代の継母さん嫌味ばっかり言ってて嫌なやつなのだが、彼女なりに生さぬ仲の子供らを気遣ってはいたんだな。リウマチで家のことが出来ないのも辛かろう。お父さんは家族に声を荒げない、多分いい人なんだろうけど、ちょっと頼りないというかある意味無責任というか。怒らずに甘やかすせいか弟はやりたい放題。でも多分彼もきちんと受け止めてくれる人がほしかったんだろうなと思う。姉ちゃんじゃなくな。姉ちゃんはリウマチの継母さんの代わりに家事から弟の世話から何からやってんだけど、やっぱりさ、若い娘がずっと家族のために立ち働いてるの、弟の目から見ても歯痒いわけだよ。今で言ったらヤングケアラーだよね。じゃあ父親や弟も家事をやればいいじゃんというのは今だから言えることで、当時はそういう発想はない。気の毒だと思いながら任せるしかない。それはそれで苦しいのではないかと見ていて思いましたね。そういう悲しさが伝わってくる話だった。
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