ひでやん

たそがれ清兵衛のひでやんのレビュー・感想・評価

たそがれ清兵衛(2002年製作の映画)
3.8
宇多田ヒカルが好きな映画だと言っていたので、どれどれ、どんな映画だ?と鑑賞。

山田洋次は相変わらずいい映画を撮るね。ハリウッドもいいが、邦画もまだまだ捨てたもんじゃないな。ザ・日本‼て感じ。

老いた母と二人の幼い娘のために懸命に働く清兵衛。終業の太鼓が鳴ると同僚の誘いも断り真っ直ぐ家に帰り、家族の世話や家事、内職をする。飲む打つ買う、といった道楽はせず、出世や名声などに興味がなく、争い事は避けて、貧しくても穏やかに家族と暮らすことが清兵衛の幸せなんだろう。

薄汚れた着物を着て無精髭を生やし、薄明かりのもとでカゴを作る清兵衛。貧乏生活の描写にリアリティーがある。

幼馴染みが離縁した男との果たし合いが周囲に知れ渡り、ラストの決闘へ。妻の葬儀のために刀を売った清兵衛。武士の命である刀を手離すってことは、それほどお金に困っていたんだろうが、清兵衛にとって刀は使わなくて済むなら使いたくない「飾り」だったんだと思う。できれば人は斬りたくないんだろう。

結局、相手のプライドを傷つけてしまい決闘になるが、清兵衛はプライドのためには戦わないんだろうな。そんなプライド持ち合わせちゃいない。生きて家族のもとへ帰るために戦う。ラストの決闘は息を飲む緊迫感があった。
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