Punisher田中

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカのPunisher田中のレビュー・感想・評価

4.5
ロシアの片田舎で燻る尖ったバンド・レニングラード・カウボーイズは、マネージャーの先導でアメリカンドリームを胸にアメリカへ赴くのだった...

何だかんだでアキ・カウリスマキ初鑑賞....
超イカしてるし、超面白い!なんだよこりゃ...アート系の振りをした不可思議リアリスティックファンタジー作品。
リアリズムとファンタジーの境界をかなり攻めたシュールな雰囲気が凄く良い、どちらの境界もうまく行き来出来てるから許せる"超次元的コント"
彼らのファッションとキャデラックにゴチャ詰めで全員乗せるという発想が面白い。
キャデラックが異様に引き立っていて印象的。
ロックバンドを描いているので、勿論音楽演奏シーンは作品中の半数以上を占めているが、これがまた面白い。
コサックからロックンロール、終いにはメキシコ音楽までといったジャンルが幅広く、ロックンロールやパンクなどのジャンルを押し付けるのではなくて、「売れるためにやったるか〜」と、ゆる〜くジャンルを変遷していくのが心地良い。

ずっと緩くてなんだか愛おしくなる、リーゼントの集団バンド・レニングラードカウボーイズ。
彼らを映し出すというのは単なる緩さや音楽を表現するため、では無くトレードマークとなるリーゼントをキーに「譲れないものが人生の骨子となること」と「割と極限的な状況でもどうにかなる」ことを教えてくれたのでは。
集団でも飾らずにありのまま生きる彼らを描写することで、自己の感覚の大切さと自分自身を曝け出すことの奔放さを考えさせられる。
「Born to be Wild」バンド演奏シーンが本当に最高な作品。