てる

エドワード・ヤンの恋愛時代のてるのレビュー・感想・評価

4.0

面白いのかどうかはよくわからない。だけど、魅力的すぎる。内容ではなく、会話だけで惹き付けるこの作品は傑作だと思う。

登場人物が多すぎる。群像劇が群像劇すぎて、名前と顔が一致しなくなってくる。関係図が頭に入っていないとわからない。観ながら関係図を頭の中で構築しつつ、ものすごいスピードで駆け抜けていく物語にもついていかなければならない。
一回観ただけじゃわからないなぁっと思考を停止させ、洪水のように流れる字幕をただただ読んでいた。長いなぁ、まだ終わらないのかなぁなんて思いながら観ていると、不思議なんだけど、会話や芝居、カメラワークが面白く感じてきた。
最後の最後まで関係図が頭の中で構築できないまま終わったのに、浮かんだ感想は、面白かった、だった。
ワンシーンワンシーンが面白く感じたのだった。少なく、潔いカット数で見せる芝居は、それでも充分に視聴に堪えるものだった。カットバックなんて必要ない。引きの画だけでも充分だし、寄りの画でも、会話をしている相手は完全にオフの声なのに、そのシーンが成り立っている。
これってすごい。

これはエドワード・ヤンだけがなし得る妙技なのだろうか。
それとも、カット数が多い現代の作品に慣れすぎてしまったが故になのだろうか。

とりあえずもう一度観たい。一度と言わず、何度もみたい。
エドワード・ヤンが好きっていう人って映画通なんだなぁとは思ってはいたが、共感できなかった。正直よくわからなくない? って思っていたのに、この監督が描く世界観や画作りがこんなにも自分にはまるとは思わなかった。
他の作品ももっと観たいなぁ。
亡くなるの早すぎたよねぇ。
てる

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