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悪魔を見たのhynonのネタバレレビュー・内容・結末

悪魔を見た(2010年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

恐かった!!

妻を惨殺され復讐の鬼と化した主人公は、殺人鬼を追い詰めなぶり殺していくうちに、いつしか人間性を失っていく…。
殺人鬼と、それを追う被害者の夫がふたりとも常軌を逸しているのがこの映画の凄いところ。立場やキャラクターを超えて、人間というものの根底に共通して潜む暴力性や残虐性が浮かび上がる様を、まざまざと見せつけられる。

正義のためなら何をしてもよい、わけはない。法に任せず自分で手を下してよいわけはない。だけど、もし自分が被害者の家族だったら、犯人が逮捕されて刑務所に入るだけでは気がすまないかもしれない。死ぬよりも大きな苦しみと恐怖を与えてやりたい、と考えるかもしれない。この主人公と同じ暴力性や残虐性は、人間である以上、誰の中にも存在するのかもしれない。

イ・ビョンホンの目が終始悲しい。
殺人鬼をいくら痛めつけようとも、殺そうとも、主人公の怒りと悲しみが消えることはなく、救いはない。
殺人鬼は死んだ。しかし、主人公は勝ったと言えるのだろうか。
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