まりぃくりすてぃ

太陽を盗んだ男のまりぃくりすてぃのレビュー・感想・評価

太陽を盗んだ男(1979年製作の映画)
5.0
ビル・ワイマン主演。抱かれたい。。

冗談はおいて、、、日本のすべての映画学校や映像学科は、入学試験代わりにこの作品を受験生に鑑賞させ、「これぐらいのレベルの傑作を創る意欲の有無」で合否を決めるべきだと思うよ。本気で言う!
今の東宝も、もっとちゃんと頑張って!

沢田研二さん(&スタッフ)のストーンズ愛が一番感じられたのは、警察署内の黒板に書かれた「キース・リ」。リの後の無限&無常&無碍がまさにブルースでありロックなのです。強くしなやかに誇りを奥へ消せる真正スター(エンターテイナー)の沢田さんならではの、不条理キャラ憑依も、さりげない磐石さの女装も良かった。
死んでも死なない菅原文太さん(正義の人)は、もちろんどんなゾンビよりもイケてます!
そんな主演二人が、三十数年後の“むしろこっちのが世紀末的”な2010年代の日本でひたむきに「反原発」「反軍国主義」「民主主義を護れ」を叫んだことはみんな知ってるね? レコ大受賞歴のある沢田さんは東日本震災後、反原発ソングを自主新曲として売り出したのに全マスコミから無視されたそうです。
レナード・シュレイダーさん、パンとサーカスにしか活路を見出せない現代社会の私たちのためにもう一回こういうの創ってください!

にしても、、公衆電話がいっぱい出てくる20世紀が活気に満ちてる。。。
詰め襟・セーラー服たちも楽しそう。。。。
キタナイ猫ちゃんの演技も何か凄かった。
猫以上に、沢田&菅原コンビの燃えるプロ意識(それは漠とした尊大な“芸能人意識”なんかとはもちろん全然違うもの!)は、見事に池上季実子さんあたりにも飛び火してます。(大勢の失笑を買った『シン・ゴジラ』の石原さとみさんとは似て非なる咲き方で)作品世界に美しく溌剌と溶け込んだ池上さんは、後半の偉大なる(安っぽくもある?)カーチェイス場面に不思議な安心感と余韻を加えることに成功!
さっきも言った、さっさと死なない菅原さんを拝める屋上バトルの説得力も不思議でイイ!

ラストがああいう沢田さんでよかったかどうか…………の気分調節のためにも、エンドロールんとこでストーンズの「Out Of Time」(Metamorphosisからのシングルカット版、通称 “カヴァーバージョン”)流してくれたらもっとよかったなぁ。歌詞、そして胡散臭くて滑稽でポップなフンイキもぴったりなんだよ!

[神保町シアター “70年代の憂鬱──退廃と情熱の映画史”]