10分以上記憶が保てない男が、妻殺しの犯人を追う難解な復讐劇。
ポラロイド写真の現像が、振る度に逆再生のように薄くなるオープニングと、写真を振るとモノクロからカラーへ変わる終盤の演出が秀逸で印象的だった。
現在から過去へと時間が逆行するカラーと、過去から現在へと時間が順行するモノクロが交互に映され、回想のフラッシュバックが挿入される構成は見事で、前作の「フォロウィング」を更に進化させた作品だった。
主人公レナードは記憶喪失ではなく、昔の自分は覚えているが10分前の自分を知らないという設定が鑑賞者を混乱させ、レナード視点で時間の経過と記憶の曖昧さを味わった。
通常再生で観賞後、時系列に沿ったリバース・シークエンス再生で再観賞し、ようやく筋を追う事ができたが面白さが半減。やはり時間の逆行は難解だが惹きつけられる。
ジョン・G、情報屋テディ、協力者ナタリー、記憶障害のサミー、麻薬の売人という登場人物が謎を深め、すべては恐ろしい真相へと収束する。レナードが辿る終わりと始まりが哀れだった。