えーー、何書くんだっけ?
あ、そうだそうだ。
この映画はまだクリストファー・ノーランの名前を知る前、友人が「この映画すごいよ!」ということでDVDを持ってきて一緒に観た記憶がある。
短時間の記憶しかできない前向性健忘症の主人公が妻を殺害した犯人を追う過程を、時系列を遡っていく構成で描いたことが斬新だった「メメント」。
この映画、ただでさえ時系列がイレギュラーなのに、主人公の記憶障害を利用して周囲の人間も嘘を付いたり、さらに主人公自身が不都合な事実に対してあえて違う事実に書き換えようとしたりとなかなかストーリーの全容を把握するのも一苦労な作品。
自分も周囲も記憶を勝手に都合のいいように変えるところはまさに黒澤明の「羅生門」システムです。
その答え合わせがDVDの特典にある時系列に並べ直したバージョンになるのだが……。
これを見ちゃうと本編ではミステリアスな存在だったガイ・ピアースが単なるめんどくさい人にしか見えないという難点がある。
もうお前、ひとりで行動するな。テープレコーダーかビデオカメラを用意しとけと、おそらくこれは自分だけではなく多くの方がつっこんだのではなかろうか😅
で、ここからはネタバレ。
改めて観るとこの映画は本当に恐ろしいことを描いていると思う。
復讐は既に果たしたもののその記憶も忘れてしまい、もうこの世にいない復讐相手(そもそもハナから存在しない)を探しながら未来永劫さ迷っているというのは悲劇以外何物でもない。
復讐相手がいるからこそ彼の生きる支えになっているという考え方もあるだろうが、同じところを延々とぐるぐる廻り続ける人生って果して価値あるものなのだろうか。
■映画 DATA==========================
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
製作:ジェニファー・トッド/スザンヌ・トッド
音楽:デヴィッド・ジュリアン
撮影:ウォーリー・フィスター
公開:2000年9月3日(米)/2001年11月3日(日)