ぬーたん

天国と地獄のぬーたんのレビュー・感想・評価

天国と地獄(1963年製作の映画)
5.0
ベースはエド・マクベイン『キングの身代金』
87分署の個性的刑事達のシリーズ10作目である。
マクベインはこの映画を観て「クロサワが作ったのは彼自身の作品であり彼自身のプロットを展開した。いい映画だった」(エド・マクベイン読本・直井明編より)と絶賛している。
確かに身代金を渡してからの描写が長く、原作とはかなり違う。
そしてその後半が見所である。

昭和38年の作品とは信じられない、今見てもハラハラする上質サスペンスである。
列車のシーンは迫力あり、アイディアも秀逸だ。
モノクロの中の赤い煙は胸が高鳴った!
『シンドラーのリスト』はクロサワへのオマージュと言っているけど、アイディアを取ったとしか思えないなあ。

亡くなった方も多いが(運転手役は百歳超えてまだご健在らしい)名優達が沢山出て豪華。
今は渋い俳優達が若々しく新鮮。
山崎努は最初気が付かなかった。

ラストの2人のやり取りのシーンが素晴らしい。
『天国と地獄』というタイトルが粋だ。
時代を超える名作、傑作だと思う。
ぬーたん

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