りょう

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Qのりょうのレビュー・感想・評価

3.8
 冒頭から意味不明な展開で、シンジとともに置いてきぼりをくらいます。前作がサードインパクトの前兆でエンディングとなっていましたが、まさかあれから14年も経過していたとは…。その過程をすべて端折る展開も爽快です。
 とにかくシンジが可哀そうです。そもそも半強制的にヱヴァ初号機に搭乗させられ、過酷な闘いにも耐えてきたのに、意図せず覚醒してしまった挙句、その責任をすべて押しつけられ、まるで敵視するような視線を突きさす大人たちの言動は迫害でしかありません。誰もシンジに説明すらしないのに、彼の態度を“ガキだ”と非難するのはあまりに理不尽です。その結果、冷静にものごとを把握できないまま、シンジの暴走が終盤のような事態を招いてしまいます。
 こんな展開なので、心境が完全にシンジとシンクロして、少し精神的にまいってしまう感覚です。綾波レイとの距離感も切ないです。これまでメインの登場人物は女性が中心でしたが、渚カヲルとの交流もあって物語が深まった印象です。戦闘シーンの映像のクオリティは、前作からも格段に向上しています。それでも、終盤の展開はまったく理解できませんでした。
 結局のところ、“人類補完計画”って、究極の優生思想のようなものなんでしょうか。次回作の「シン・エヴァンゲリオン」ではっきりするとも思えませんが…。それにしても、このエンディングにして、さらに予告編をチラッと観せられ…、完結編の劇場公開が9年後って、リアルタイムで観たファンたちは悶絶状態だったのでしょう。
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