てつこてつ

ヒドゥン・フェイスのてつこてつのレビュー・感想・評価

ヒドゥン・フェイス(2011年製作の映画)
3.9
絶対にハリウッドでは製作されないであろう、いかにもヨーロッパ的な色気と独特な艶っぽさがあるスリラーの秀作。

舞台はスペイン。ウェイトレスのヒロインは、ある晩、ウィスキーの氷割りを注文して、一人涙を流している客に出会う。泥酔した彼を自分の部屋に泊めたことをきっかけに二人は恋人関係に。その男は、将来を大いに期待されているオーケストラ指揮者。以前、彼が涙を流していたわけは、当時の恋人が失踪してしまったから・・。

ある日、彼にコロンビアに一年間赴任する話が持ち上がる。「一緒に来て欲しい」と誘われ、彼について行くことにしたヒロイン。だが、彼とバイオリン奏者の仲が何やら怪しい。ひょっとして恋人?そんな疑心感にさいなまれていた頃、大家の夫人から、家の隠し部屋の存在を知らされる。

彼の気持ちを確かめるために、ボイスレコーダーに別れを告げるメッセージを残し、隠し部屋に身を潜める。帰ってきた指揮者は、花束を彼女のために抱えていて、彼女の残したメッセージを聞いて、悲嘆にくれる。そんな姿を見て満足した彼女が隠し部屋から、いざ出ようとすると・・何と、鍵を外に置いてきてしまったことに気付き、愕然とする。

完全密室&防音の部屋からは、マジックミラーごしに彼の名前を叫んでも、力任せに叩いても、彼に伝わるはずもない・・。絶対絶命に陥ったヒロインは・・。

そもそも、このようなストーリーの発想が浮かぶ事自体が、とってもヨーロッパ、さらにはスペイン映画らしい。サスペンスミステリーとしても上質だし、さらに、そこに艶っぽさというスパイスが効いていて。登場する女性たちの美しさ、指揮者役の男の二枚目っぷりもなかなか良い。
てつこてつ

てつこてつ